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【本】華竜の宮

SFの土俵でコレが相手では確かにまどかマギカに勝ち目ないわ〜、という第32回日本SF大賞受賞作

今から約2億5000万年前、古生代ペルム期末、地球上の95%の生物種が絶滅するという古生物史上最大の大異変が発生した。その異常事態を引き起こしたものは地球深部から湧き上がる巨大なマントル上昇流・ホットプルームに伴う桁違いの超巨大火山の噴火であると言われている。ホットプルームによって生成されるキンバーライトマグマは時速200km以上の速度で地下から上昇し、地上に達すると大爆発を起こして大地を焼き払った。絶えることなく噴出する玄武岩マグマはシベリアの大地を覆い尽くし、焼けただれた不毛の地に変えた。成層圏まで達する大量の火山灰が太陽光を遮って環境を激変させ、多くの生物を死に追いやったという。

とかいう前提知識があるとちょっと面白みが増す感じなお話…。ま、言いたい事いっぱいあるけど、あらすじとか世界観とかはAmazonの書評でも見てくれればいいので、あんまり語られてないラストについて一言。

すべての種はいつか絶滅する定めを背負っていて、人類だって例外じゃない。人の知恵を以てしても未曾有の危機を乗り越えられず、いつの日か滅びていくのだろう。

人類のパートナーとして生まれたアシスタント知性体は、そんな人類の努力に意味があるのかと問いかける。その意味は、おそらく個々の人が生きる意味と全く同じなんだと思う。多くの人が、例え死に行く定めでも自分の一生には意味があるのだと考えるように、人類という種の生存闘争にも意味があるのだとアシスタント知性体は言ってるのだろう。それに、たとえ人という種が滅びようとも人類の意志がそこに残っている限り終わらないのだ。